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遠足メモリーズ
2012-10-30 Tue 01:12
32歳の頃

 「遠足」という言葉から何を思い浮かべるであろうか。

 遠足はみんなに普遍の思い出だ、そして共通の話題でもある。飲み会で昔の「あるある」話をする時も遠足のネタは盛り上がること鉄板である。

「おやつは200円までです」
「先生!バナナはおやつに入るんですか?」
「家に帰るまでが遠足です!」
「水筒の中身はお茶か水です、ジュースは禁止」

 このあたりはおそらく定番であろう。

 僕らの時代の遠足は非常にバリエーションが限られていて、小学校時代のそのほとんどが登山かハイキングであった。僕は東京の北部に住んでいたので行先は100%埼玉県の山々であった。

 今思い出せる目的地は

● 吉見百穴
● 顔振峠 正丸峠
● ユネスコ村
● 高麗川 秩父連山

 いずれも埼玉県の高名なハイキングコースやその近辺の行楽地だ。
 したがって、遠足そのものの印象はあまり残っていない、どれも
(リュックサック背負って山を歩いたなぁ・・・)
 というものばかりで、遠足そのものよりも先に挙げた、行く前のおやつを買いに行く楽しさや、先生の話すお決まりのセリフの数々ばかりが今でも記憶に残っている。

 さて、僕にはもう一つ別の「遠足」の思い出がある。
 それは、先生になってから生徒を引率した遠足の数々だ。僕の勤めたのは中学校だったので、先の小学校の遠足と違い様々なバリエーションがあった。潮干狩り、工場見学、フィールドアスレチックなどの集団行動のものも残されてはいたが、すでに時代はバスガイドさんの旗に引率されてという時代ではなく、班行動によるオリエンテーリング形式が主流であった。

 僕が計画した場所をいくつか挙げてみると

● 東京都内巡り
● 川越散策
● 鎌倉散策

 などがある。

 これらは「遠足」という名称からは少し離れているが、僕は指導する側としてはとても好きだった。みんなで同じところを集団で見るほうが確かに計画は楽だし、当日の心配も少なくて済む。でも、中学生にもなればそれぞれみんな自分の意思を持つ。自分たちでコースを計画する楽しみや、限られた範囲ではあるが自由度の高いこうした行事は生徒たちにとってもとても楽しいらしく、計画の段階から教室が華やぐ。
 中学校という場所は「制約」だらけの空間だから、そこに自由が少しでも入り込むことで新鮮な風が吹きとても輝いて見えるのだ。

 その代わり、先生は大変である。当日、生徒たちは自分たちの手を離れてしまうため、楽といえば楽だが、もしも生徒が事故にあったらなどと考えると精神的には非常に宜しくない。
 そのために、事前の計画を3ヶ月も前から始め、万全の対策を練り、くどいほどの指導を経て生徒たちを送り出すのだ。

 当時は携帯電話がないので、公衆電話のかけ方から教えたものだ。中一だと一人で電車に乗ったことがない生徒もけっこういた。班長にはいざという時の救急車の呼び方や、満員電車で具合が悪くなった時の対処方法までありとあらゆる場面を想定してシュミレーションさせる。

 こうした行事はこの「事前指導」が全てといっていい。逆に言うと、しっかりと事前指導ができたと実感できた時は当日は割と気が楽である。天気のいいのを願うくらいだ。

 僕は個人的に鎌倉が好きで、毎年遠足担当になるとよく鎌倉を行き先に提案した。まずはコンパクトな中に様々な見学地が置かれている。次に、当時勤めていた学校からは乗り換えなしで1本で行ける。そして、何よりもそれぞれの見学地が魅力的である。
 遠足の担当者は「実地踏査」といって、事前に下見に行くことができた。この時は生徒もいないし、交通費も見学料も全て公費だ。非常に楽しい「仕事」である。そして、その下見をふまえて細部の計画を立案するのだ。

 さて、そうして迎えた個人的には三度目の鎌倉遠足の日のことである。その時も僕は「万全」の計画を立てて(これ、一応自己評価です)「鎌倉遠足」当日を迎えた。自分自身三度目の鎌倉遠足であり余裕もあった。ところが、ひとつだけ当てが外れた。それは・・・天気。

 こうした遠足は多少の雨でも登山などと違い中止になることはない、よほどの台風なら別だが基本的に傘をさして回ればよい、晴れるに越したことはないが、雨だからできないことはない。先生方の本音を言えば、できれば延期にはしたくないのだ。

 この時の季節は冬、一月の末であった。雨の予報だったが決行となる。しかし、当日、朝から降っていた冷たい雨は昼過ぎになり予想以上に激しくなってきた。僕ら先生はそれぞれのチェックポイントにいて、生徒たちがグループごとにやってくるのを待ち受ける。

 その日の僕のチャックポイントは銭洗弁天だ。

 待っていると生徒たちが三々五々やって来る。かわいそうにみんなびしょ濡れだ。でも生徒たちはそれでも楽しそうで、濡れているのをそれほど厭わず、女の子などはキャッキャキャッキャとはしゃいでいる。

 僕はそこでそれまでの報告を班長から受ける。すると、ほぼ全てのグループのほぼ全ての生徒が同じことを、ある生徒は「楽しそーに」ある生徒は「同情の声を交えて・・」報告するのだ。

「M先生、かわいそ〜」
「M先生、あれ、知らない人が見たら怪しいよ!」
「M先生、顔が青かったー」

 そう、それはその日チェックポイント「由比ガ浜」に配置された若手体育科のM先生の姿の報告であった。僕のいる銭洗弁天は雨のしのげる場所がいくらでもあった。しかし、M先生のチェックポイントは由比ガ浜の海岸の砂浜のど真ん中(生徒たちがすぐ見つけられるように)となっていた。

 M先生に、折りたたみのチェアーに座り、海岸の一番目立つ場所で生徒を待つように計画したのは何を隠そうこの僕である。そして、M先生はその日、目立つように蛍光オレンジのダウンジャケットに身をまとっていた。朝、集合場所からそれぞれがチェックポイントに向かうとき、M先生は少し憂鬱そうに

「じゃ、行ってきます」とつぶやいていたのを思い出す。

 M先生は昼頃から勢いを増した一月の氷雨降る中、一人由比ガ浜の海岸の真ん中で椅子に腰掛け、傘をさしながら蛍光オレンジのダウンジャケットに身を包み、一日中生徒たちを待っていたのだ!

「でも、すぐにわかったよー、あれ目立ちすぎ!」
「怪しい人だよね」
「あれはちょっとかわいそうだよ」

 女の子たちはやたら嬉しそうに報告をくれる。なんでも今日見学したどの見学地よりも印象に残ったのだそうだ。

(ごめんね、M先生)

 僕は自分の「完全」な計画を反省しつつ、心の中で謝った。

 その日の夜、鎌倉遠足打ち上げの宴席でM先生はスターであった。

「いやー、凍え死ぬかと思いました、でも一生忘れられないですね」
「お疲れさん!熱燗好きなだけ飲んでいいから」
「風邪ひかなかったか?なんなら明日休んでいいぞ」
「平気です!」 と笑顔でM先生。

 遠足の成功も相まって和やかな飲み会となった。


 先日、久方ぶりに鎌倉を訪れ散策を楽しんだ、江ノ電から由比ガ浜の海岸を眺めたとき、あの日の思い出がよみがえってきた。

 鎌倉はそんな「思い出」も含めて、僕にとってとても素敵な町である。


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 江ノ電にて出発

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 海岸沿いを走る

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 由比ガ浜沖の海

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 趣あふれる「極楽寺」駅

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 鎌倉大仏は「長谷」駅すぐそば

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 大仏のある「高徳院」の入口

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 大仏様の勇姿

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 背中はこんな感じ・・ちなみに中に入れます

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 ちょっと足を伸ばして 軍港 「横須賀」

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 潜水艦が停泊してました

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 横須賀海軍カレー 次回のお楽しみに






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鎌倉
初めまして。
ぱきらいおんと申します。
時々こっそりお邪魔しておりました。
わたしも鎌倉大好きです。
鎌倉がかもし出す空気感が心地よいです。
素敵なお話をありがとうございました!
2012-11-01 Thu 15:09 | URL | ぱきらいおん #-[ 内容変更] | top↑

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