FC2ブログ
QLOOKアクセス解析
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | top↑
Yちゃんの宅急便
2012-06-14 Thu 00:02

22歳の頃

 血液型による性格診断というのがある。
 星占いや干支は100%非科学的と言ってもいい。
 僕は辰年のみずがめ座だが、世の中の辰年生まれが全員同じ運勢のわけはないし、朝のワイドショーで

「今日のラッキーNo.1は みずがめ座!!」

 と言われても、きっとラッキーな人もアンラッキーな人もいるに違いない。かといって「そんなものはナンセンスだ!」などと目くじらたてて否定するのも大人げない、信じる人が気楽に楽しめばそれでいいと思う。

 血液型は星占いや干支などに比べると若干科学的根拠がありそうだ。血液型という名前があるが、聞くところによると、例えばA型の人は体中の物質すべてがA型なのだそうだ、皮膚も、骨も、爪も、全てがA型物質から成っている。そう考えると「気質」というものが違ってもおかしくはない。

 日本人にはA型が多い、ドイツ人もA型が多い、ブラジルやイタリアはO型が多いらしい。そう聞くと民族性に共通点があるような気がする。

 僕はB型である。性格診断の本を読むとあまりいい事が書かれていない。

 ● マイペースでわがまま
 ● 空気が読めない
 ● 嫌われ者が多い

 など散々である。

 その中で、自分でも当たっているかなと思う診断に

 ● 熱しやすく冷めやすい

 というのがある。

 これには

「おみそれしました」
「一切言い訳はいたしません」
「おっしゃる通りでございます」 

 全面的に降参する次第である。

 小さい頃から興味があるものにはすぐに飛びつき、しばらくするとそれは無用の長物と化している。独身時代の僕の部屋には通販で買った「ぶら下がり健康器」が洋服掛けと化し、苦労せずに腹筋が鍛えられる「インナーマッスル」は埃にまみれて押し入れの肥やしとなっていたものだ。

 そんなB型の僕は動物を飼うのにも向いていない。小学生の頃、僕が大好きだった生き物に「カエル」と「カメ」がいる。アメリカザリガニも好きだった、捕まえて見ていると心が癒されるのだ。
 カエルは近所の池で簡単に捕まえられたし、カメは縁日で買ってきたミドリガメや、これまた時たま池で見つけたイシガメなどを捕まえて持ち帰っては嬉々としていた。

 ここからが楽しい、大きめの水槽を用意し、ビオトープやテラリウムよろしく、砂利を敷いたり、水草を植えたりと、カエル君やカメ君の住宅作りに勤しむ。この辺りはプラモデル作りの楽しみに似ている、出来るまでが最も楽しい。
 出来上がった住宅にカエル君やカメ君を入居させ満足感に浸る。ここで僕の興味の半分は終わってしまうのだ。それでも何日間かはエサをあげ食べるところを見ては「かわいいなー」と目を細める。

 しかし、ここからがいけない。1週間もすると僕の興味はほぼ無くなり、水槽の掃除もしなくなってくる。そのうちに水槽から悪臭が漂い、さらに日が過ぎると、水槽の周りは苔むして外からの観察は不可能になってくる。中は想像するにバイオハザード状態である。ふたを開けるのがほとんど恐怖となる→したがって水槽に近づかない→水槽のジャングル化が進む→最後にはゾンビの館と化す→水槽の事を思うだけで恐れおののく。
 
 この時点で僕の気持ちは 200%「超ブルー」だ。

「掃除しなくちゃ・・・」

「でも、ふた開けるの怖い・・」

「でも、このままじゃカエル君やカメ君が・・」

 この時点ですでにカエル君やカメ君の安否すら不明なのだ。動物愛護協会の方にお叱りを受ける事間違いなしだが、小学校時代の僕はこの点において、のび太君以上に無責任でダメな子供であった。
 結末はほぼ次の通りとなる。僕は最終的に裏庭の井戸まで水槽を持っていき、井戸水のポンプを力任せにこぎ続けるという最終手段に出ることになる。

 大洪水を起こすことで水槽に手を触れずに水圧でゾンビの館を粉砕しようという神をも恐れぬ所業に出るのだ。カエル君の生存率はほぼ0%、カメ君は逆に100%生きていたが、そのまま裏庭へと旅立っていく。
 この上なく無責任な飼い主は学習することもなく毎年のように同じ過ちを犯し、そして深く反省し心に誓うのであった。

(カエル君、カメ君 ごめんなさい、もう僕は生き物は飼いません)

 ちなみにこれがB型の性格だと言ったら全国のB型の人にまたまた怒られそうなので訂正します、これはあくまで「僕」の性格です。
 過ちに気付いた少年はその後生き物を飼うことなく青春期を過ごした。

 さて、そんな僕があるきっかけで再び生き物を飼うことになったのは小学校を卒業してから10年後の事である。

 僕は新任の先生としてとある中学校に赴任した。初めて担任したクラスの中に一人物静かな女の子がいた。Yちゃんと言い、やせていて、背も小さく、同じクラスにただ一人だけ話せる女の子がいた。その子以外とは、学校でほとんど口をきくのを見たことがなかった。

 家庭的にも恵まれていなかった彼女に僕は意識して声をかけるようにした。すると1ヶ月ほど経つと僕に少しずつ自分の事を話してくれるようになった。

「うちは、お母さんとふたりきりなの」
「へー、そうなんだ」
「お母さんは仕事してるから夜も遅いよ」
「ちょっぴりさびしいね」
「あたしね、将来は女子プロになるの」
「えっ女子プロって?」
「女子フロレスだよ」
「・・いいんじゃない」

 かなり驚いた。クラスで一番小柄で体も細い彼女の口から女子プロという言葉が出てくることが想像つかなかったからだ。

「何で女子プロなの」
「うん、あたし弱いから、強くなりたいの」
「なるほど」
「でもね、お母さんが許してくれないんだ」

 どうやらただの夢ではなく本人はかなり本気で考えているらしい。

「がんばれよ、応援するよ」
「ありがとう」

 それから半年ほど過ぎた秋の終わりの日曜日、時間は午後の3時ぐらいだったろうか、僕のアパートの電話が鳴った。

「先生、大変、来てくれる?」

 電話は、先の彼女の唯一の友達である女の子からであった。

「Yちゃんがね、家出したの」
「えっ、家出?」
「女子プロの事知ってる?」
「うん」
「お母さんが反対して、それでね、ケンカして飛び出したらしいの」
「わかった、すぐ行くから校門の前で待っててくれ」

 僕はすぐさまチャリンコに乗って学校へ行き、彼女と落ち合った。

「当てはある?」
「この辺で行きそうな所は全部行ってみたけど・・」
「ほかには?」
「あと一つだけ」
「どこ?」
「川を越えた先にある土手の横の公園、時々あたしと行くんだ」
「よし、行ってみよう」

 僕と彼女は20分ほどチャリンコを飛ばし、土手の公園を目指した。
 はたして、Yちゃんはそこにいた。
 中学一年生が家出して一人で行けるところはそんなに多くないのだ。

「よかった」

 僕らと目が合うとYちゃんは目にいっぱい涙をためて、それでもかすかに微笑んだ。

「心配したよ」
「ごめんなさい・・」
「家に帰れる?」
「うん」
「えらいぞ」

 家まで連れて行ってお母さんと話そうとも考えたが、彼女の様子を見て、大ごとにしないほうがいいと判断。あらためてアパートの住所と電話番号をメモして渡した。

「家出したくなったら連絡するんだよ」

 そして、友達に家まで送り届けてくれるよう頼んでアパートに帰った。

 さて、次の日の朝の事だ。
 朝刊を取りにアパートのドアを開けると玄関に何かが置いてある。
 何かと思って見てみるとそれは鳥かごであった。
 まさか自分宛のものとは思わず、そのままにして部屋に戻ると、留守電のランプが点滅している。記録を見ると早朝の電話で、どうやらぐっすり眠っていて気付かなかったようだ。

 再生ボタンを押すと、10秒余りの短いメッセージが流れた。

「先生、きのうはありがとう、インコが卵を産んだのであげます」
 
 まだ暗いうちに家を抜け出して届けてくれたらしい。
 僕はちょっぴり心がほっこりして、外の鳥かごを部屋の中に持って入った。
 かごの中には、藁敷きの巣の中にセキセイインコの卵らしきものが2つ見えた。

(こいつは孵してやらんとまずいぞ・・・)

 それからどれくらい経った後かもう記憶にないが、卵は無事に孵った。

 僕は10年ぶりに生き物を飼うことになった。



関連記事
別窓 | 随筆 | コメント:1 | トラックバック:0 | top↑
<<血なまぐさいお話 | つれづれペンペン草  おのみちたかし | 回転寿司レボリューション>>
ブログ拝見させていただきましたO(≧∇≦)O
まだ新設して間もないブログランキングサイトですが、よろしければ参加していただきたくコメントさせていただきました。
是非よろしくお願いします。
2012-06-14 Thu 08:43 | URL | ブログランキングNo.1 #53A0b1AQ[ 内容変更] | top↑

管理者だけに閲覧

トラックバック URL

FC2ブログユーザー専用トラックバック URL
| つれづれペンペン草  おのみちたかし |

検索フォーム

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。