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新車購入交響曲 前篇
2015-03-10 Tue 00:27
いらっしゃいませ



 開店時の百貨店は楽しい。

 平日休みの僕は開店10分前に行ってみる。
 シャッターを前に並ぶ、一番乗りである。
 休日ではこうはいくまい、30分前に行ってももうすでに人が待っている。

 10時 開店

 シャッター上がると入口のガラス扉の向こうから、お客様を出迎える店員さんたちが見えてくる、まるで舞台の幕が上がり役者が姿を現すがごとく・・・

 扉が開く。
 左右に分かれてお客様をお迎えする店員さんたちが深々とお辞儀をする中をまるでレッドカーペットを歩くがごとく僕は店の中に入っていく。

 自然と背筋が伸びる、別段自分が偉いわけではないのだがちょっぴり気分がいい。
 まさに「おもてなし」の儀式だ。


 
 14年乗っていた車がとうとう病気がちになった。大病ではないのだがちょくちょく通院を繰り返す、人間の寿命にしても壮年は間違いないだろうからまあ仕方あるまい。
 先月はちょっとした手術を受けた、完治とあらば最後まで添い遂げようかとも思ったが、さらなる治療が必要とのこと、治療費もけっこうかかりそうだ。ちなみに車検はあと1年残っている。

 3日ほど悩んだ末に買い替える決断に至った。

○ 修理に10万 1年後には車検で15万 さらには税金が4万 これだけでもおよそ30万円だ。

○ 子供も大きくなり家族で出かけるためのミニバンの役目が終了。

○ 30万を頭金と考えて軽自動車に乗りかえる、4月の増税前なら税金は7千円ほど、5年間を見通せば税金だけでも約16万円の節税だ。


  「よし!買っちゃえ!」 と僕の計算機が結論をたたき出した。

 
 こうなると気分はウキウキである。

 車を買うのは14年ぶりだ、こうなったら思いっきり楽しんじゃうぞ!!

 若いころの僕は車には全く無頓着であった。
 初めて車を買ったのは25歳、当時の僕にとっての車は「走ればいい」というものであり、したがってその購入もいたって「シンプル」いや「大雑把」いやいや「がさつきわまりない」ものであった。

 かつて、初めて車を買ったとき、僕はふと目に留まった販売店に飛び込んで、あれこれ車を眺めたあと店員さんにこう言った。

 「これ、ください」

 
 
 店員さんも驚いていた、そりゃそうだ、大根を買うわけじゃないのだ、聞くところによると普通の方々は、カタログを取り寄せ、いくつものディーラーを渡り歩き、試乗を重ね、何度も交渉しては値引きを引き出し、大安の日におめかしして、ご先祖様に手を合わせたのちにようやく契約にこぎつけるといった手順を踏むらしい。僕のように考えもなしに衝動買いをする人はたいてい報いがやってくる。案の定、最初の愛車は何度も壁とお友達になり、駐車違反の黄色い輪っかを度々つけていただいたのち、短い期間で僕から去っていった。

 あの頃僕は若かった。

 人生の酸いも甘いも経験した今はこの高い買い物をとことん楽しむことに決めたのである。

 さて、まずは販売店巡り。

 車で乗り付けると営業マンらしき人がすかさず店内を飛び出し車を誘導しつつ笑顔とともに出迎えてくれる、この日は小雨だったので車から降りるとすぐさま大きめの傘をさしかけてくれた。
 続いて店内のテーブルに案内されてまずは丁重にご挨拶をいただく。

 「お乗換えですか?」
 「まあ、そうですな、3月中に決めようかと・・」

 僕は口ひげを撫でながら話す英国紳士のごとくふるまってみる。
 この時点で営業マンの顔つきが引き締まる、どうやら正真正銘の「お客様」のようだ。
 サービスはワンランクアップ。

 「お飲み物とお菓子をお選びください」

 高い買い物だけあって優秀な営業マンはいたれりつくせりのサービスを始める。

 (うれしい・・)

 決して冷やかしではなく「購入」を決めているだけにこのVIP待遇は小市民である僕を気持ちよくさせてくれた。

 (なにしろ・・本当に車買うんだもんね・・)

 「車、見てもよろしいですか?」

 英国紳士(風)はおもむろに営業マンに水を向ける。

 「ご案内いたします」

 丁重に案内していただき、何車種かの運転席に座らせてもらいレクチャーと営業トークを聴く。

 「ふむ、なかなかいい車ですな」 

 よく知りもしないくせにちょっぴり偉そうにうそぶいてみる。

 今回買うのは軽自動車、それも現金ではなく残価クレジットによる購入である。
 これが高級外車をキャッシュで買おうものなら更なる高揚感と愉悦が体を駆け巡り、そのふるまいも威風堂々となるのであろうが・・
 
 それでもいいではないか!!
 
 一般小市民にとって車は家に次ぐ高価な買い物なのだ、こうしたプチ王様気分を味わったってバチは当たらないだろう、僕はこの車購入決定までのプロセスをうんと楽しむことを決めた。

 (沢山のメーカーの販売店を回って、一番僕を満足させてくれたお店から買おう!)

 僕は若き日の「後悔」を取り戻すかのごとく心に誓うのでありました。

 こうして僕の「新車購入交響曲」はその第一楽章を奏で始めた。



試乗車












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料亭!
「料亭」という単語に一瞬目を奪われました。
生まれてから一度も行ったことないです(^^)
納車までかりそめのVIP気分を味わって行きたいと思います。値段とサービスは必ずしも比例しませんが、それでも高いものはやはりいいものである事は多いでしょう。先日、気紛れでいつもの倍の値段の豚肉を買いカレーを作りましたが、肉、メチャクチャ美味かったです(^^)
2015-03-22 Sun 13:29 | URL | おのみちたかし #-[ 内容変更] | top↑
 制服を身にまとい、清楚な姿でずらっと並ぶ百貨店のおねー様方。ええのう、ええのう。と中年のおやぢが申しております(笑
 車屋さんですが、確かにサービスが良いですね。先日タイヤのパンクでディーラーさんに寄った時も至れり尽くせりでした。他県の一元客なのに、コーヒーを出してくれるは、籠を差し出してお菓子は如何ですかとか。かえって恐縮してしまいましたわ。
 料亭に行った時もそうだったなぁ。店員が椅子引いて待っててくれるの。気持ちは伝わって来るんだけど、なんかこそっばくてねぇ。上等なサービスに慣れていない一般庶民なわたくしめでございます。
2015-03-17 Tue 07:44 | URL | miss.key #eRuZ.D2c[ 内容変更] | top↑

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