FC2ブログ
QLOOKアクセス解析
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | top↑
つゆのあとさき
2014-06-12 Thu 00:02
紫陽花


梅雨寒 五月雨 アマガエル

日本中が 「THE 梅雨」 といった毎日だ。

雨は好き? と尋ねられた時はこう答えるようにしている。

「用事がないときは好き」

登校、出勤などどうしても家から出なければならない時の雨は憂鬱だ。
傘をさすのも面倒だし駅までのスクーターはいくら合羽を着ても着くころにはびしょ濡れだ。

だが、そんな雨がいとおしく感じる日もある。
今日は一日休みでどこにも出かける必要がない・・
外は朝から篠突く雨が降り続いている。

窓をたたく雨音に耳を傾けながら熱いコーヒーをひとすすり。
BGMは渋めのJAZZがいい。
そんな雨の朝は限りなく素敵だ。

雨音を聞いていると幼いころのちょっぴり切ない記憶がよみがえってきた。

確か、僕は四歳。
梅雨時の土曜の夕暮れだった。
僕は家の前でロウセキを使ってアスファルトに落書きをして一人遊びをしていた。

あの頃、道は子供たちの落書きであふれていた。
ケンケンパの輪っかに始まり訳の分からぬ怪獣に車やヒコーキなど
道はちょっとした画用紙だった。

いつもは道端の石を拾って書いていたが、ある日誰かがロウセキを持ってきた。
1本10円 道端の石の何倍も鮮明な白い線が引けた。
途端に落書きが何倍にも楽しくなった。

誰かが僕に声をかけた。
「ねえ、いっしょにかいていい?」
僕が振り向くとそこには近所に住むAちゃんという女の子が立っていた。
彼女は距離でいうと約100m、軒数でいえば15軒ほど先の自転車屋の子で確か学年はひとつ上だった。
「うん・・いいけど」
僕はとまどった、なぜかって・・生まれて初めて女の子と話したのだ。

記憶に残っていないだけなのかもしれないが、男兄弟、幼稚園デビューでいきなりはしかに罹患し、友達作りに乗り遅れた僕は女の子はおろか、友達らしき友達が一人もいなかったのだ。
登園から降園まで一言もしゃべらずに過ごすことも日常茶飯事でだった僕は、当然女の子と話した経験もなかったのである。

「ケンケンパ描こうか」
「うん」

何だか不思議な感覚だった。
自分から話しかけることなどなかった僕だが
「年上の彼女」がリードしてくれたおかげで自然と話すことができた。

「あたし、お花描くね」
「じゃ、ぼくはくるま」

二人で話をしながらロウセキでいろいろな物を描いていった。
僕はそうしているうちになんだか楽しくなってきた。

「たのしいね」
彼女が僕を見て微笑んだ。
「うん、たのしいね」

それはもしかすると生まれて初めて「女の子」を意識した瞬間だったかもしれない。

時間にすればものの30分くらいだったろうか
やがて夕闇が迫り、町は黄昏色に染まる。

「じゃ、あたし帰るね」
「うん」
「ねえ、あしたもあそばない?」
「えっ・・いいけど・・」

思わぬ言葉に僕はどきっとした。
「朝の9時にここに来るね」
「うん」

そして彼女は暗くなりかけた道を帰って行ったのだ。

僕はその夜妙に興奮していた。
生まれて初めて味わう気持ちだ。
僕は紙切れを探してきて、サインペンでこうメモした。

「あした、9じ いえのまえ」

そして、布団の下にそのメモをしまって眠りに落ちた。


翌日曜日、僕は6時ごろ目が覚めた。
いつもなら8時まで寝てるのに・・

窓の外は・・どしゃぶりの雨だった。
ちょっぴり不安な気がした。
気もそぞろに朝ごはんを済ませた僕は9時10分前に家の外に。

9時になった。 
彼女は来なかった。
30分ほど傘をさして待った。
でも・・彼女は現れなかった。

昨日描いたロウセキの白い落書きが雨ににじんでぼやけていた。


僕はその時ちょっとだけ雨が憎らしかった・・・




道路の落書き









関連記事
別窓 | 随筆 | コメント:5 | トラックバック:0 | top↑
<<VIPな体験 | つれづれペンペン草  おのみちたかし | ノスタルジックトリップ(後編)>>
不思議なものです。雨というのは…
降っている間は妙に心を重くしますが,ひとたび上がれば全てを美しく見せてくれます。
それは,遠く切ない思い出さえも…



ところで小生も台風や豪雨が好きです。
それを駄文にまとめたことがあります。
よろしければ読んでみてください。

http://satyrpoppy.blog95.fc2.com/blog-date-20110921.html
2014-06-29 Sun 11:34 | URL | きりぎりす #GaenHm5U[ 内容変更] | top↑
Sha-La さんへ

こんにちは「尾道」です(^^)
エッセイの時は「おのみち」を名乗っております。

お体のほうは大丈夫でしょうか。
コメントありがとうございました。

ロウセキはチョークとは違い硬くて、見た目は鉱石みたいでした。地面を擦るとくっくり白い線が描けます。

一本20円くらいで駄菓子屋などで売っていた記憶があります。

同じように駄菓子屋で売っていたものにチェーリングというものがあります。私の地元では誰もが知っているのですが、大人になって人に話しても同意を得られないのですね。

このエッセイでも「競技チェーリング」について書いたバックナンバーがあるのですが、もし、「自分もやった!」という方がいらしたら教えてください(^^)

あっ、すみません、話が飛んじゃいました。

小説は生み出すのに苦心惨憺なのですが、こちらは気楽に書いています。

よろしければ時折お立ち寄りください(^^)
2014-06-24 Tue 01:34 | URL | おのみちたかし #-[ 内容変更] | top↑
こんにちは。
あれ、「掌の小説」の尾道さんですよね?
随筆も書いていらっしゃったんですね。
私も日記ブログが別にあるので
随筆に挑戦してみようか
無理でした。

ロウセキというのが懐かしいです。
懐かしいというか、私の辺りでは
チョークで地面で落書きしていて
よく親や近所の人に「昔はロウセキを使って描いてたよ」と
言われて、
名前を知っているだけなんですが、
ロウセキという名前を忘れていたことも忘れていました。

子ども心ながら切なさが現れているいい作品だと思いました。
2014-06-23 Mon 05:14 | URL | Sha-La #41Gd1xPo[ 内容変更] | top↑
miss.key さんへ

コメントありがとうございました。返事が遅くなりすみません。

営業の人は特に雨は大変ですよね、特にバイクともなればなおさらです。今年の2月大雪の時、新聞配達や郵便配達の人が山の上にある我が家まで来てくれるのに心から感謝と敬意を感じました。

実は我が家の2軒隣の家のがけが崩れて住めなくなってしまい引っ越されてしまったのです。うちもいつ崩れるか大雨が降るたびにドキドキしています。
でも、不謹慎ながら、台風や豪雨の時は妙に高揚してしまうのです。
2014-06-16 Mon 02:37 | URL | 尾道貴志 #-[ 内容変更] | top↑
仕事でなければ雨が好き
 こんにちは。同感です。
 私も仕事でなければ雨は好きです。あの静かな感覚が好きです。ものすごい豪雨でも、部屋の中から見る雨の風景は何故か静かなんですよね。でも、仕事となると雨は憂鬱。以前の職場は主にバイクでの営業だったので、雨の日は最悪でした。まず間違いなくずぶ濡れです。ああ、忘れたい20年の黒歴史(笑い
 幼い頃の女の子との出会いは何と言うか、寂しいものがありますな。私の初恋は幼稚園生の時でしょうか(笑い。とても仲好くて毎日がバラ色だったのですが、その子の親の転勤であっさりと消えました。突然すぎて別れの挨拶も無かったorz。子供ですからね、親の都合には入ってもいません。
雨はふっていなかったかな。
2014-06-13 Fri 08:34 | URL | miss.key #eRuZ.D2c[ 内容変更] | top↑

管理者だけに閲覧

トラックバック URL

FC2ブログユーザー専用トラックバック URL
| つれづれペンペン草  おのみちたかし |

検索フォーム

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。