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ストイックな日々
2017-05-28 Sun 01:52
開幕


 世の中に絶えて桜のなかりせば
 春の心はのどけからまし

 古今和歌集にある在原業平の有名な和歌である。

 訳すと次のようになる。

 「この世の中に桜というものがもしなかったならば、春が近づきいつになったら桜の花が咲くのだろうと心をやきもきさせることもなく、のどかな気持ちで過ごせることでしょうに・・」

 平安人がどれだけ桜の花を愛していたのががうかがえる。

 日本中のプロ野球ファンもきっと同じ気持ちだろう。

 世の中に絶えて野球のなかりせば
 シーズン中の心はのどけからまし

 野球に限らずスポーツのファン心理というものは誠に不思議なものだ。
 贔屓チームの日々の勝敗に一喜一憂し、時には涙を流し、時には怒りに握り拳を震わせ、人によっては仕事にまで多大な影響をもたらすことも珍しくない。

 ステレオタイプな例では、大阪では阪神の勝敗で夜の居酒屋の料金が上下に大きく振れることなどは有名だ。

 興味のない人にとっては何でたかが試合の勝ち負けであんなに熱くなったりできるのか不思議かもしれない。
 
 プロ野球ファンというものは本当に愛おしくまた可愛いと思う。


 さて、僕の応援する千葉ロッテマリーンズが大変なことになっている。

 とにかく弱いのだ・・

 五月の半ば時点ですでに借金が20!
 チーム打率は2割に届かず、チーム防御率は4点台の後半。
 ホームラン数、盗塁数、すべて最下位。
 規定打席に到達している打者がわずかに一人。

 データを見る限りワーストのオンパレードだ。

 1勝するとその後5連敗、ようやく1勝するとまた5連敗、やっと勝ったと思うと8連敗・・といった驚異的なペースで敗戦が積み重なっていく。シーズン記録の103敗も「夢じゃない」という歴史的な弱さなのだ。

 しかも負け方がすごい!

 傷口に塩を塗られるどころか、全身をやすりで傷つけられた後でトクホンチールの風呂に落とされるくらい痛い敗戦が続いた。

 あと1球で勝利から逆転ホームランを浴びる。
 一試合に6本も被弾して新記録を作る。
 0-0の延長12回表・・あと一人抑えれば負けはないというシチュエーションで被弾・・それもルーキーのプロ初ホームランだったりする。

 打てばより打たれる、抑えても点が取れない。

 3連戦で奪った得点が3点いくかどうか・・僕は観戦するたびにノーヒットノーランの恐怖に怯え、ヒットがでると安堵するという大変レベルの低い喜び方を覚えた。

 とにかくこうしたマンガみたいな負け方を挙げれば枚挙にいとまがない。

 負の連鎖が続く・・

 こうなるとファンはたまったものじゃない。
 胃薬が欲しい、精神安定剤も欲しい、優しいお姉さんに慰めてほしい、大きな穴を掘って「王様の耳はロバの耳!」と叫びたい。

 春の心は傷だらけでささくれ立ってるわけだ。

 ネットは荒れ放題でネガティブな書き込みが並ぶ、怒り系と並んで自虐ネタが多いのも特徴だ。

 シュールで自暴自棄の言葉も多い、こういう時の方が文章センスも光るというものだ。

 まさに開幕からの僕の気持ちは


世の中に絶えてロッテのなかりせば


僕の心はのどけからまし



 であった。

 しかし、どうやら人間の心というのは優れた適応力をもっているらしい・・

 初めはひどい負け方をするたびに怒り心頭、臥薪嘗胆、コノウラミハラサデオクベキカ・・と魔太郎のごとく弱いチームを呪ってみたものだが、あまりにも敗戦が続くと悲しいかな慣れてしまうのだ。

 僕は仕事の関係上ナイターをリアルタイムで見られず、仕事が終わった後のネットニュースで結果を知る。

この時が毎日ドラマだ。

 ヤフーのスポーツナビを開く。

 画面が小さい僕の職場のPCはこの時スコアが画面下に隠れていて見えないのだ!

 僕はひとつ深呼吸をしてゆっくりと画面を下にスクロールしていく。

 この瞬間がドキドキの最高潮だ。

 ホームだとまず最初に敵の得点が現れる

 ここが1とか2なら・・期待が高まる!

 「おっ・・今日は勝ったかな・・」

 しかし、期待してさらに下にスクロールすると我がマリーンズはかなりの確率で0が現れるのだ。

 この時の失望感・・

 8連敗中などは悲惨を極めた。

 ドキドキしながらスクロールさせ敵の得点を見ると 「15」などというおよそ野球らしからぬ数字が登場する、この時誰が我がチームが18点を奪って勝ったなどと考えるだろうか、テンションが一気に低下する。

 負けが込んでくるともう初めから負けることを予想して見に行く・・

 その方が負けた時のダメージが少なくなるからであろう、悲しき心の防御反応だ。

 ネットの掲示板を見ていると僕と似たような人がとても多い・・

 ノーアウト満塁なんてチャンスが珍しく訪れた。

 首位のチームなら「ホームランを狙え!」「一気にたたみかけろ!」など威勢のいい書き込みになるがだろう。

 しかし、我がロッテファンは

 「きっと内野フライとゲッツーだよな・・」など前もって完璧なシールドを張るのだ。

 これも弱いチームのファンになった悲しき性なのだろうか。


 さて、そんな辛いシーズンを送っているのだが

 僕らロッテファンにはどのチームのファンにも負けない大きな力があるのだ!


それは  「忍耐力」!!


 何しろ2005年に日本一になるまで30年以上優勝できなかったチームだ。

 想像してもらいたい・・30年優勝しないチームを応援し続けるこのストイックな心

 巨人ファンや黄金期の西武ファンの方なら耐えられないのではと勝手に予想する。

 僕らロッテファンは負けても負けてもストイックに耐え続け、そしてやっとつかみ取った勝利に心からの涙を流すのだ!

 ああ・・何といじらしく!
 ああ・・健気な!

 6月を迎えチームはようやくどん底を抜け始めた感がある。

 得意の交流戦で大きく巻き返しをと願うが、何しろ20連勝してもようやく5割なのだ・・優勝への道のりははるかアンドロメダよりも遠い、イスカンダルをも見据えた距離だろう。

 でも、いいじゃないか!

 愛するチームとともに苦楽を共にしていけば、いつか手にした優勝はどれだけ貴く嬉しいものか・・

 僕はきっとこの先ずっと落胆と失望、もしかするとファンとしての絶望をも味わうかもしれない、それでも勝利を祈りながら仕事をし、ドキドキしながら画面をスクロールさせていくだろう。

 頑張れ!千葉ロッテマリーンズ!

 僕のストイックな日々はこれからも続く・・



マリン










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